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すじ編み・うね編みのやり方(向こう側半目を拾う/US:BLO)

水色のコットン糸で、向こう側半目を拾って編んだこま編みのスワッチ。段と段の間に横向きの畝が盛り上がり、いちばん上で黄色の段を編んでいる。
向こう側半目を拾ってこま編みを往復に編むと、ゴム編みのような横向きの畝ができます。 写真: Stilfehler / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0 (加工あり)

かぎ針編みの目の頭には、横向きの「V」のように2本のループが並んでいます。ふつうはこの2本の下に針を入れて編みます。向こう側の1本だけを拾って編むと、編み地の表情ががらりと変わります。往復に編めば伸縮性のあるうね模様に、輪に編めばくっきりとしたすじが入り、かごの底やあみぐるみの足、帽子のふちで角を作るのにぴったりです。新しい編み目を覚えなくても、手軽に凹凸を加えられる方法のひとつです。

日本では、こま編みで向こう側半目を拾って輪に編むものを「すじ編み」、**往復に編むものを「うね編み」**と呼び分けます。英語のパターンでは、どちらも BLO(back loop only)と書きます。

用語メモ: 英語のパターンでは、US式の single crochet(sc)がこま編みです。UK式では double crochet(dc)と呼びます。

編み図での記号

日本の編み図(JIS記号)では、すじ編み・うね編みは、こま編みの「×」に短い線を添えた記号で描かれ、この線が「半目を拾う」ことを表します。英語圏の記号(目の根もとに弧を描く形)とは描き方が違うので、編み図の記号説明(凡例)で形を確認してから編みましょう。

向こう側半目の見つけ方

段の上をのぞきこむと、どの目にも2本の糸でできたVの形が見えます。

  • 手前側半目は、自分にいちばん近い糸です。
  • 向こう側半目は、自分からいちばん遠い糸です。

この「手前」「向こう」は、編み地の表裏ではなく、いま編み地を持っている自分から見た向きで決まります。往復編みで編み地を裏返すと、さっきまで「向こう側」だった糸が「手前側」になります。

向こう側半目を拾うこま編みの編み方

  1. 次の目を見つけ、頭の2本のループを確認します。
  2. 向こう側半目の1本だけに、手前から向こう側へ針を入れます。
  3. 糸をかけて引き出します(針にループが2本)。
  4. 糸をかけて2本を引き抜き、こま編みを完成させます。
  5. 次の目でもくり返します。 拾わなかった手前側半目が、自分に向いている面にすじとして残ります。

ポイント: 各段の端の目は、頭2本を拾って編みましょう。端がしっかりして、とじ合わせたり縁編みをしたりしやすくなります。

往復編みで:うね編み

向こう側半目を拾うこま編みを往復に編むと、拾わなかった糸が段ごとに表と裏に交互に出て、段に沿って深く伸縮性のあるうねができます(うね編み)。編み地を横にしてうねが縦になるように使えば、袖口や帽子のふち、セーターの裾のゴム編み風の帯になります。

ゴム編み風の帯の編み方は次のとおりです。

  1. 帯の幅にしたい分のくさり(例:5cm/2インチ分)に、立ち上がりの1目を足して作り目をします。
  2. 1段め: 針から2目めのくさりにこま編み、残りのくさりにも1目ずつこま編み。編み地を裏返す。
  3. 2段め: くさり1目(目数に数えない)、すべての目に向こう側半目を拾ってこま編み。編み地を裏返す。
  4. 袖口やふちをぐるりと囲める長さになるまで、2段めをくり返します。

輪編みで:すじ編み

輪編みでは編み地を裏返さないので、拾わなかった手前側半目がすべて外側に並び、くっきりした横のラインになります(すじ編み)。パターンでは、すじ編みを1段入れて次のように使います。

  • かごやあみぐるみの足の平らな底から、まっすぐな側面を立ち上げる。
  • 新しいパーツの始まりの目印にする(頭と帽子の境目など)。
  • あとから編みつけるために、手前側半目を残しておく(フリルや別色の縁など)。

手前側半目を拾う(US:FLO)

反対に、自分にいちばん近い糸だけを拾うのが手前側半目を拾う編み方(英語では FLO、front loop only)です。輪編みでは、向こう側半目が内側(裏側)に残ります。往復編みでもすじができますが、見た目は少し違います。どちらを使うかは、パターンに必ず書かれています。

中長編みの「3本めのループ」とは?

中長編みには、目の裏側、頭のVのすぐ下に横に渡る3本めの糸があります(英語では third loop、back bar。日本語には定まった呼び名がありません)。この糸を拾うと、メリヤス編みのようなうねになります。向こう側半目を拾う編み方とは別のテクニックですが、パターンで混同されていることもあります。中長編みのパターンに「BLO」と書かれていたら、パターンの注意書きや写真を見て、デザイナーがどの糸を指しているのか確認しましょう。

よくある失敗

  • 裏返したあと、半目を取り違える。 「向こう側」はいつも、いま自分からいちばん遠い糸です。
  • 端が斜めになる、縮む。 半目を拾う編み地は少し幅が狭く見え、伸びやすくなります。段の終わりごとに目数を数えれば、幅の変化が目を落としたせいではないことを確かめられます。
  • 穴があく、編み地がゆるい。 1本だけを拾うと目がゆるくなりがちです。だらしなく見えるときは、1号細い針を試しましょう。
  • うっかり半目を拾っている。 ふつうに編んでいるつもりなのに思わぬすじが出ていたら、1本しか拾っていないかもしれません。Vの2本をよく確認しましょう。

よくある質問

うね編みはゴム編みと同じですか?

往復に編んだうね編みは、ゴム編みに似た編み地になります。ほかにも、表引き上げ編み・裏引き上げ編みや、中長編みの裏側に渡る糸(third loop)を拾う方法がありますが、見た目は違います。

半目を拾うと、編み地は伸びやすくなりますか?

はい。目どうしが2本ではなく1本でつながるので、段と段のあいだが動きやすくなります。とくに、うねと直角の方向によく伸びます。

段の最初の目も向こう側半目を拾うべきですか?

多くの人は、端をきれいにするために最初と最後の目を頭2本で編みます。パターンに指示がなければ、どちらでもかまいません。同じ方法でそろえましょう。

長編みでも向こう側半目を拾えますか?

拾えます。どの編み目でも向こう側半目を拾って編めます。段が高い分、すじの間隔が広くなるだけです。

日本の編み目名(JIS記号)で解説し、英文パターン用にUS式の略語も併記しています。